『新たなスタートのとき』

 

校長 鈴木 康史

 

 猛暑で始まった夏休みも、8月下旬には少し涼しくなり、爽やかな空気の中を久々に登校してくる子どもたちの声が学校に響き渡り、共に学ぶ場としての学校が再開しました。ひと月で前期末としての年間の中間振り返りをし、運動会や各学年での特色ある活動の1011月を経て、冬休みまでの4か月が始まりました。

 この夏は、これまでの2年間より行動制限の少ない状況でしたので、さまざまな形で出かけたり、運動したりと、できたことも多かったのではと思います。私は、福島県の震災・原発避難地域を3年ぶりに車で訪れました。その中で一番印象に残ったのは、4年前は荒れたままだった浪江町の請戸小学校が、震災遺構として整備されていたものでした。ここは、津波から全校で避難するときに子どもがよい道を教えて全員無事だった場所です。津波のすさまじさを彷彿させる校舎と逃げた山を見渡しながら、命を守ることの大切さを心に刻みました。9月1日には総合防災訓練もありますが、災害から身を守ることを充実させねばと思いました。

 

 去る7月5~7日、6年生の箱根修学旅行が行われました。幸いにも7月の感染拡大の直前であると共に、宿泊施設をはじめとする箱根の受入体勢と子どもたちの行動がしっかりしていたので、余裕をもった日程で無事に実施できました。小机小学校として3年ぶりの宿泊学習となりましたし、4・5年時の宿泊学習が実施できなかった今年の6年生はラストチャンスとなっていました。見学・体験・レクリエーションを友達と寝食を共にして行うことは、改めて貴重な時間であったなと実感しました。

今回の県内での修学旅行のように発症時等の迎え対応などが行いやすいことを踏まえ、しばらくは県内での宿泊学習とし、神奈川県のよさを感じる機会となればと思います。今後も感染状況を見据え、様々なシミュレーションをしながら、秋からの各学年の宿泊学習や遠足、見学などが安全に実施できるよう検討していきたいと思います。

 

 7月末に、全国学力・学習状況調査の結果が公開されました。4年ぶりに理科も実施されて、中学校3年生は校種・教科を超えて初の全体通過率が5割を割りました。同時に週1回以上の観察・実験をされている率が、小中学校共に低くなりました。するとこれをつなげて考えてしまいがちですが、こういう調査では相関関係(実験をしている方が正答が多いかの関係を個別にチェックすること)も調べており、その関係はなかったそうです。一方で横浜の結果を見ると、少ない実験の構想をすることや結果を分析して考察することを問う問題がよい結果となっていました。感染対策が厳しく、学級の児童数も少なくない都市部でも、少ない観察・実験の機会を生かすように考える、話し合う時間を充実することに意味があることが分かったので、体験活動の時間を確保するとともに思考する時間も大切にするようにしたいと考えます。横浜市、全国(6年のみ)の学力・学習状況調査は、9日以降に個人票を配付しますので、個々の特長を見る機会としてください。生活リズム、読書、学習と生活の関連などの学校全体の分析については、改めて10月号でお知らせします。