「  『新しい』学校へ   」

                                                                       副校長 赤坂 桂

 

 新年度が始まりました。新しい教室、新しい友達、先生との出会いに子どもたちは喜び、目を輝かせています。今年度は学級数の都合で2階が2・3年生の教室、3階が1・6年生の教室となりました。例年とは違う配置に少し戸惑いながらも廊下を通る子どもたちの様子からはわくわく感が伝わってきます。

 そして、5月から新しい年号「令和」が始まります。学校でも「平成31年度」ではなく、「令和元年度」と表記することになります。新しい学校生活がスタートしました。 

 私が担任をしていた頃、忘れられない授業の一コマがあります。5年生の担任になって4月の始まったばかりの国語の授業でした。教科書にある「新しい友達」という物語文が教材でした。その物語の始まりはこんな感じです。

主人公の仲のよかった友達が外国に転校することになってしまいます。別れるとき主人公はクロッカスの球根をプレゼントしました。外国に行った友達はクロッカスを大切に育て、咲いた花を見ながら主人公のことを思い出すのでした。

 ある日の授業で私が「どうして球根を贈ったのでしょうか」という問いかけをしたところ、クラスの子どもたちは「花を見て私を思い出してほしい」「私の代わりに大切にしてほしい」などと様々な発言していつも通りの流れで授業を終了しました。そのあと休み時間が終わったとき、ある一人の子が息せき切って教室に戻ってきました。そして「先生!分かったよ!なんでクロッカスを贈ったか。黄色のクロッカスの花言葉は“あなたを待っています”だった!」と教えてくれました。その子は「なぜクロッカス」で「なぜ黄色」なのか、そこに何か意味があるのでは、とずっと考えていたようです。休み時間になると真っ先に図書室へ行って花言葉を調べてきたのでした。

 教師が用意していた問いかけを超えて、自分が気になって本当に知りたくなった問いについて自ら動き、調べ、答えを見付けた喜びにあふれた笑顔がありました。与えられた課題をこなすだけの学習ではなく、こんなふうに子どもたちが自ら興味をもって知りたいことをどんどん学んでいくような授業をたくさん創りたい、と思いを深めた出来事でした。

  来年度から始まる新しい学習指導要領では、 主体的・対話的で深い学びの視点から「何を学ぶか」だけでなく、「どのように学ぶか」も重視した授業づくりをします。学校で学んだことが、子どもたちの「生きる力」となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい。そうした願いが込められています。

 新しい時代、子どもたちが大人になる頃の社会が自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現できる、そんな明るい未来となることをめざして学校も授業も、少しずつ新しい方向へ変化していきます。