「 『体育』から『スポーツ』へ 

 副校長 赤坂 桂

 

 今年は例年より暖かいようで、各地のスキー場が雪不足で困っているというニュースを聞きました。大雪が降ると私たちは困りますが、雪国の方や子どもたちにとっては、やっぱり雪が待ち遠しいようです。

 2020年が始まり、もう半年でオリンピックとなります。この夏もきっとラグビーワールドカップのように日本中が熱く盛り上がることでしょう。楽しみですね。

 オリンピックを迎えることで50年以上続いたものが変わろうとしています。ご存知でしょうか。それは「体育の日」です。「体育の日」は1964年に東京オリンピックの開会式が行われた10月10日が祝日とされたもので、2000年からは10月第2月曜日となっていました。そして2020年東京オリンピックを迎えて今年から「スポーツの日」と名称が変更されます。カタカナで表記される祝日は初めてです。今年に限っては開会式の行われる7月24日が祝日となります。

 「スポーツは世界共通の人類の文化である」「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、すべての人々の権利」とスポーツ基本法にうたわれているように、これからの時代は自発的にスポーツを楽しんだり、スポーツを通じて地域交流や国際交流を図ったりと体の健康だけでなく、スポーツの役割や価値が広がっていく流れなのでしょう。

 では、学校の「体育」もスポーツに変わっていくのかというと私はそうは思えません。特に小学校期は心身ともに成長著しい時期です。生涯にわたって健康で、スポーツを楽しめる心や体を育成するのが「体育」の役割です。

 なかにはオリンピックに出場するようなアスリートが育つこともありますが、むしろ日常生活であまり運動しない子どもたちにとって「体育」が必要です。鉄棒や跳び箱は大人になってやらないのだから授業でやる必要はない、という声が聞かれることもあります。しかし、大切なのは「難しい技ができる」とか「1位を取る」といったことでなく、「様々に体を動かし、心地よさを味わう」ことです。逆さになる、ぐるぐる回るなど日常生活では行わないからこそ経験し、身体感覚を育ててほしいです。

 限られたルールの中で正しく競い合う「スポーツ」。その究極の場がオリンピックです。きっと子どもたちは体育で養った運動を楽しむ心と体で、トップアスリートのパフォーマンスを間近で驚き、あこがれ、感動することでしょう。ぜひ、これまで経験のない種目にも注目し、楽しんでほしいです。

 

【SDGsメモⅧ】 「2030年に向けて大切だと思うこと」

 この一年間様々な例で紹介して来たSDGsもSDG7(エネルギー)を残すのみとなりました。省エネ、クリーンエネルギーなど、イメージできることはたくさんあります。

 1月中旬、5年生の各クラスで教育委員会の研修でやっていたSDGsのワークショップをしました。「今できること」と問えば上位に来るであろうSDG7も、「大切だと思うこと」となると下の方になりました。大人だと、社会や生活を考えると、エネルギーや産業、技術革新(SDG9)なくして実現性は上がらないと考えられるのですが、5年生は平和や自然こそ大切と考える傾向にあります。

 

 1月14日の夕方、雲松院の森でフクロウのさえずりを聴きました。豊かな自然ですね。