メリットとリスクの両者を考えながら

校長 鈴木 康史

 昨年の5月以来の休校、6月以来の分散登校で、夏休み明けを迎えることとなりました。誰でもがいつでも感染してしまうような昨年4・5月頃より厳しい状況であり、感染症対策の再徹底が必要になってきています。しばらくは、横浜市全体で学級の人数を半分にするなど人数を分散することと、学級単位でのみで生活し校舎内での人の交流を抑えることなどを中心に対応していきます。運動会の延期をはじめ、今後も変更が続くと思われます。

 夏の間に受けた2回目のワクチン接種で、私は接種の翌日に微熱が出ました。解熱剤も使わない程度でしたが、この1年半は微熱すら出たことがなかったため、わずかな体の変化について行けずにゆっくり休む一日となりました。コロナ対策としてだけでなく他の原因においても健康的な1年半だったと実感するとともに、さまざまな制限によって気持ち的に健康であったかという疑問も生じます。誰もが、メリットとデメリット、プラス面とマイナス面、期待と不安の両者を感じながら過ごしているのではないでしょうか。何ごとも一面だけでなく、バランスを考えて生活していかねばならないと思います。

 小机小学校では、一人一台のタブレットPCを5月から学校で使ってきました。授業において、調べ学習をし、写真を撮り、作品を記録し、話合いや発表に使い、プログラミングをする経験をしています。この9月から家庭に持ち帰り、家庭での学習に限り使うことも始まります。大人はオンライン授業ができるのではないか、子どもはゲームもできるのかと考えるでしょうが、まだまだネットや設定の準備、使用にかかわる注意の指導の徹底などを学校と各家庭で進める段階です。過剰なコロナ感染者探しによる問題がオンライン授業などで誰がいないかからも生じてしまう、他人の情報を拡散してはいけない理解と責任の発生を自覚するなど、オンラインのメリットだけでなくリスクについても意識して、バランスよく考えることが大切です。学級閉鎖等ではない分散登校では、インターネット環境がなくてもできる課題とします。

 話題は変わって、東京オリンピック2020にかつて教えた子が出場しました。子どもの頃から足は速かったのですが、中学時代までは選手になれなかったのに高校で頭角を現し、大学で日本選手権に出るレベルになっている話を聞いたのが、2年前のことでした。その後、学生の大会、日本選手権、海外の試合などにも出るようになっていて応援してきました。6月に日本新記録で優勝し、笑顔満面で代表に選ばれました。母校にはPTAの、駅やまちの施設には町内会の横断幕が掲げられるのも見に行ってきました。オリンピックでは、準決勝でわずか0.03秒の差で決勝を逃しました。世界の壁はやはり厳しいものであり、でも手の届きそうなところにあることも分かったところで、きっと次の目標を立てていることでしょう。この夏、目標をもってがんばる姿と地域の温かい支えのすばらしさを実感する機会となりました。小机の子どもたちからも、世界の舞台で活躍する人が出てくるとよいですね。