『「いい国作ろう 鎌倉幕府」のいい国って?~学習と評価の話~』

校長 鈴木 康史

 まん延防止等重点措置の適用や緊急事態宣言が一部の県等に発令されており(4月28日現在)、まだまだ感染症対策をしながらの生活が続いています。新年度に入りひと月経ち、子どもたちは新しいクラスでのコロナ禍の学校生活に慣れてきています。1年生も、入学前から身に付けていたこともあり、現状の学校の様式に順応してきています。泊を伴う行事に制限がかかり、4年生の宿泊学習は延期となりましたが、その時点でできる対策をして行えることは準備をして臨めるようにしています。今後の状況によっては、中止や延期等があるかもしれませんが、ご協力よろしくお願いいたします。

 昨年から学習指導要領が変わりましたが、臨時休校や分散登校で授業の進度と習熟の確保に努めることが多く、「主体的・対話的で深い学び」を意識した授業に限りがありました。そのため、評価も新しい規準でしきれないところもありました。評価規準自体がかなり高く、あゆみで「〇」となることがかなり難しいですし、それをさらに上回る「◎」はごく一部になると思われます。ここで、評価の観点とペーパーテストの限界についても、改めてお伝えしておこうと思います。

まず、評価の観点「知識・技能」は、知識をどれだけもっているかだけではなく、他の学習や生活場面でも活用できる程度に概念等を理解や形成しているかまでとなっています。「鎌倉幕府が開かれたのはいつですか?」という問いに、年号を暗記することが勉強と考えていると「1192年」だけが答えと考えてしまいます。1192年と答えられなくても、「荘園制度に陰りが見え、各地の武士が武士中心の世の中を求め始めていた12世紀後半・・・」などという答えが理解まで伴ったものではないでしょうか。ペーパーテストで年号をいくら正解していても、それだけでは「〇」にはなりません。テストでいくら点が取れていても、「◎」はおろか「〇」にもならないときがあるということです。2年生では掛け算九九を覚えていればよいかと思いがちですが、同時に掛け算の意味を理解しているかまでを合わせて理解を伴った知識です。3年生の掛け算や割り算で、九九を使えているか、掛け算の仕組みを理解していたかが分かってしまうのです。

評価の観点「思考力・判断力・表現力」は、最後に表現力が付いているように、考えたことを表出していないと評価されません。ですので、これもペーパーテストでは限られたことしか確認できません。例えば、4年生の理科では「予想の理由を表現すること」、5年生の理科では「方法を自分で考えること」ができていて「〇」になるので、授業の時点でそれが見られないといけないことになります。

 自分の考えをもつ、出す、話合いで見直す、そんな授業が多くできる状況が増えればなと思います。