「優劣をこえて認める違い」

 

 優劣をこえて認める違い。これは私が5年生の時に学んだことです。

 あなたの教室では優劣による差ばかりに目を向いていませんか。例えば体育のリレーの学習で得意な子が苦手な子に「そんなこともできないの?」「足引っ張らないで」などと言ってしまったら、クラスの中で上下関係ができてしまうのではないでしょうか。相手の立場や違いに目を向ければ、こういった差別的な見方が広がってしまいかねません。だから私は、差ではなく「違い」に目を向けることが大切だと考えます。

 そう考えるようになったのは、5年生の時の「総合的な学習の時間」で学校の中庭を作り直したことがきっかけでした。「楽しめる」「いやされる」「関われる」「学べる」中庭を目標として設計図をつくりました。校長先生や庭づくりのプロの方々に設計図を見ていただくと、校長先生が「車椅子の子も使える庭になるの」と問いかけてくださいました。私は、はっとしました。大岡小学校には車椅子で生活している子がいます。しかし、その子にとって使いやすいかという視点は私にはなかったのです。

 そこで、その子に中庭を使ってもらう機会をつくりました。すると「進みづらい」「大変」という言葉が返ってきました。私も実際に車椅子を使ってみると、レンガの地面が斜めになっていて怖くて移動しにくいなと感じました。そこでレンガを11つ外して平らにしました。他にもテーブルを移動式に変えたり、花壇をプランターにしてうご返すようにしたりと設計図を見直していきました。

 たった1人のために?と思う人もいるかもしれません。しかしその1人の違いを大切にして作った中庭は今、大岡っ子みんなが楽しみながな学び合う場所になっています。1人に目を向けることで全員が過ごしやすい「公共の場」になるのです。

 このことからお互いの違いに目を向け、認め合うことが大切だと考えます。

 実際に私のクラスではコミュニケーションを取る「朝トーク」という時間があります。毎日ペアを変えて行うので、普段あまり話す機会がない友達の今まで知らなかったところを知れます。色々な人とコミュニケーションを取る時には、私は2つのことを大切にしています。1つは共感的な反応や返事をすることです。2つ目は相手の話題に対して自分の関心をつなげて会話を続けることです。こうすることで、いろいろな友達の違いを見つけることがとても楽しいものだと気づきました。

 あなたがもし、今周りの差ばかりに気になっているのなら、もう一度ゆっくり周囲を見渡してみませんか。「優劣を超えて、認める違い」を心の中心に置くことで、あなたの見方がきっと広がります。そして、あなたの心がもっと豊かになるのです。