やさしい言葉で心あたたかく

校 長  田中 秋人 

長く続いた夏の暑さがようやく過ぎたと思ったら、秋の心地よい風を楽しむ間もなく、冷たい北風が吹き始めました。舞岡川や校庭の木々は赤や黄色に染まり、落ち葉がカサカサと音を立てながら地面を彩っています。朝の空気は澄み切り、子どもたちの吐く白い息が冬の訪れを知らせてくれます。季節は駆け足で進み、夏から一気に冬へと変わったように感じます。校庭で元気に走る子どもたちを見ながら、「いつから温かい場所が好きになったのかな」と思います。寒さは日ごとに厳しくなりますが、子どもたちはきっと冬ならではの楽しみを見つけるでしょう。

さて、12月には『人権週間』があります。人権とは、誰もが尊重され、安心して暮らせる権利のことです。学校でも、友達をいじめたり、からかったりすることは絶対にしてはいけません。いやな気持ちにさせる言葉や態度も、人を不安にさせる行為等も、決して許されるものではありません。本校では、人権週間に合わせて外部の講師をお招きし、低・高学年に分かれて人権について考える講演会を実施する予定です。外部の講師の方のお話を聞くことで、子どもたちは「自分も相手も大切にすること」の意味を深く学んでくれると考えています。実際にお話を聞いたり、様々な体験を通したりして、友達に限らず、周囲の人たちにやさしい言葉や思いやりのある行動をとることがどれほど大切かを感じる機会となることを願っています。

一方ではインターネットやSNSなど、顔を合わせなくても言葉を発信できる場が日々増えています。しかしそこでは顔が見えていないということもあり、強い言い方やきつい言葉で相手を傷つけてしまうことが簡単にできてしまうということを聞くことがあります。画面の向こうには必ず人がいることを忘れず、どんなときもやさしい言葉を選ぶことが大切です。本校でも見えない相手を大切にできるようにSNS等の使い方については継続的にサイバー防止教室等を行って、指導を続けていきます。

見えている人、画面越しで見えていない人それぞれの人権を守るということはとても大切なことです。しかしときには、自分の考えや気持ちを伝えることも必要です。『自己主張』は悪いことではなく、むしろ大切なことでもあります。ただ主張するときには、相手を傷つけない工夫をすることが必要です。たとえば、『ぼくはこう思うよ』『わたしはこうしたいな』とやさしい言葉を使って相手に伝えることができます。お互いを尊重しながら話し合うことで、だれもが安心して過ごせる空間がうまれてきます。舞岡小学校もそのような空間になるように教育活動を推進していきます。

寒さが厳しくなる季節ですが、心はあたたかく、やさしい言葉と行動でお互いに相手を思いやることが大切です。人権週間をきっかけに子どもを中心にして、ネットでも現実でも『思いやりのある社会』をみんなでつくっていきましょう。今月もよろしくお願いします。