紫陽花と多様性(令和7年6月号)
紫陽花と多様性
校 長 田中 秋人
木々の緑がいっそう深まり、校庭には初夏の風が心地よく吹き抜ける季節となりました。子どもたちは、そんな自然の中でのびのびと毎日を過ごしています。休み時間には、鬼ごっこやボール遊びに夢中になる子、図書室でお気に入りの本を読む子、友だちとおしゃべりを楽しむ子など、それぞれが思い思いの時間を楽しんでいます。過ごしやすい陽気の影響も関係するかもしれませんが、校庭で遊ぶ児童が少し増えてきたと感じます。さわやかな気候の中で遊ぶ姿は、まるで自然と一体となっているかのようです。彼らの無邪気な笑顔と楽しそうな声が、学校全体に活気を与えてくれます。
さて木々の緑だけでなく紫陽花が美しく咲き誇る時期ともなりました。例年、本校でも正門の前には色とりどりの紫陽花が見られ、その鮮やかな色彩が私たちの心を和ませてくれます。朝、正門に立っていると地域の方から「紫陽花、楽しみですね。」と声をかけられました。私自身は何もしていないのですが、少し誇らしげな気持ちになりました。毎日のように正門の紫陽花の様子を見ていて、興味をもち調べることにしました。調べてみるとガクアジサイが日本原産であること、土壌のpHによって色が変わること等、紫陽花について知らないことがたくさんありました。その中でも目を引いたのが花言葉でした。色がかわることから「移り気」「冷淡」、小さい花が集まって咲く様子から「家族団らん」「和気あいあい」など紫陽花の花言葉にはさまざまな意味がありました。同じ紫陽花ですが、見る人によって色が変わる花なのか、小さな花が集まっている花なのかと様々な見方ができます。人によって一つの物事にも様々な感じ方、受け方があるのと同じだと思います。当然かもしれませんが、きっと人も一様ではなく、物事に対して様々な考えをもっていることを強く感じました。
この様々な考え方、多様性は学校生活にも重要な一つです。異なる背景や考え方を持つ子どもたちが集まり、互いに尊重し合いながら成長していくことが、豊かな学びと創造性を生み出します。このように友達と関わることで、様々な考えの友達がいることを理解し、それぞれの考え方を認めながら、協調する大切さを学んでほしいと思います。学校でも、すべての子どもたちが自分らしく輝ける環境を整え、互いに支え合う姿勢を大切にしていきたいと思います。
先月からは、今年度の縦割り活動もスタートしました。異学年の友だちと関わる中で、年上の子が優しく声をかけたり、年下の子が憧れのまなざしで見つめたりと、学年を越えた温かい交流が広がっています。子ども同士の活動の場を広げながら、様々な人との関わり合いを充実させ、活動を通して、思いやりやリーダーシップ、協力する力、そして相手を認める多様性をしっかりと育んでいきたいと思います。今月もどうぞよろしくお願いいたします。