宮古島研修

 

宮古島研修 報告書

 

1.目 的:

実習やフィールドワークを主体とした「驚きと感動」による体験を通して、科学に対する興味・関心を触発していくことを目的に、関東とは異なる植生や海洋生物等を有する宮古島を研修地とし、現地のフィールドワークおよび調査を実施する。また、宮古島の生態系を調査し、学校周辺の身近な生態系と比較することで生物多様性について理解する。

 

2.日 程:令和5913日(水)~916日(土) 3泊4日

 

3.参加者:本校生徒 5名(1年次)、 引率教員2名

 

4. 研修先および研修内容

①事前研修

・本校教員

令和5年823日 「マングローブについて、宮古島の環境」

 

②宮古島の概要

沖縄県宮古島は横浜より3000km離れた島嶼であり、サンゴ礁が隆起してできた島である。沖縄本島からも約400km離れている。農業はサトウキビ栽培が盛んである。エネルギー資源は島外に頼るしかないため、再生エネルギー開発にも島全体で取り組んでいる。特異的な地質をしており、川がないという特徴がある。そのために水は地下にダムを作って利用している。気候は亜熱帯性気候であり、植生も温帯性のものとは異なる。こうした特徴を持つ宮古島で研修・調査を行い、各々が取り組んでいる課題研究に役立てる。

 

 

913日(水) 地下ダム資料館、友利のあま井(ガー)、インギャーマリンガーデンでの調査

 

地下ダム資料館を訪問し、川のない宮古島でどのようにして水源を確保しているのか、地下ダムをどのように作ったのかなど、宮古島の生活を支えている技術を知った。その後は、地下ダム完成以前に生活用水として使用していた井(ガー)を訪問し、宮古島で水を確保することの難しさについて学習した。インギャーマリンガーデンでは、浅瀬にいる植物や確認できる海洋生物について調査した。

   

地下ダムの仕組みとダムの水の観察   友利のあま井(ガー)の様子と観察できたヤシガニ  様々な植物がいたインギャーマリンガーデン

 

914日(木) 高野海岸、入江湾近辺の浜、サニツ浜での調査

NPO法人の春川様に1日帯同していただいた。高野海岸では、漂流するゴミ・植物・動物のこと、マイクロプラスチックの調査の仕方についてご説明いただいた。生徒は、岸に打ち上げられるものの種類の多さに驚いていた。マイクロプラスチックの調査を実際に行い、本物のマイクロプラスチックの観察をできたことに感動していた。同時にマイクロプラスチックの調査の大変さや除去の方法の難しさを感じ、自分たちの生活の中で出来ることがないのかを考えるきっかけとなった。入江湾近辺の浜では、干潮を利用して海の生物についてご説明いただいた。珊瑚・魚・カニ・貝などを間近で見たことで、様々な生物の特徴や生態系について詳しく知ることができた。サニツ浜では、干潟のカニ、ハゼ、沖縄ふぐの生態調査をした。また、サニツ浜にあるマングローブ林では、ヤエヤマヒルギ、ヒルギダマシ、オヒルギ、メヒルギを目の前で観察した。マングローブの研究をしたいと考えている生徒は葉やマングローブ付近の土を採取していた。

   

 高野漁港付近の海岸におけるマイクロプラスチックの調査    春川様によるマングルーブについての説明と付近の土の採取

 

915日(金) 池間島海洋生物、宮古島市熱帯植物園での調査

 

池間港から船で沖(八重干瀬)まで出てシュノーケリングを行い珊瑚や魚の生態調査を行った。事前学習でサンゴや海の生物を写真で確認していたが、本物の八重干瀬に生息する珊瑚や魚の姿、八重干瀬特有の地形を観察することが出来て非常に感動していた。同時に、現在の珊瑚の課題についても学ぶことができた。夕方には、宮古島市熱帯植物園を訪問し、ガイドの岡様に宮古島のでき方、生息している植物や動物について教えていただいた。日が暮れた後も植物園をご案内していただき、ミヤコヒキガエルやアフリカマイマイなど宮古島特有の夜行性動物を確認することが出来た。植物園では亜熱帯の環境に生息する植物が多く生息していたため、生徒たちは研究に生かすためのサンプルをいくつも収集していた。

   

   八重干瀬で確認できたサンゴ礁群とカクレクマノミ      ガイドの岡様による植物の説明と研究に生かすためのサンプル採取

 

916日(土) 雪塩ミュージアム、東平安名崎、来間島(タコ公園周辺)での調査

帰りの飛行機までガイドの佐々木様と一緒に雪塩ミュージアム、東平安名崎、来間島(タコ公園周辺)で宮古島の文化の学習や植物の生態調査を行った。雪塩ミュージアムでは、宮古島で作られる雪塩の製造方法や歴史、活用の仕方について学習した。東平安名崎では、海と強風がある環境における植物の生態調査を行った。塩害を防ぐための工夫や強風に耐えられる植物の構造を確認することができた。宮古島の様々なところへ訪れたが、ここで初めて見る植物や生物もいた。来間島(タコ公園周辺)では、人間の管理があまり行われていない場所で植物の生態調査を行った。今まで観察してきた植物であっても、環境の違いによって姿や成長の仕方が異なっていることが確認できた。宮古島においても珍しいといわれるサクラランの観察もできた。また、来間島は特徴的な地形をしている島ということもあり、地質について興味を持った生徒もいた。

   

 雪塩の作り方ついての説明  ガイドの佐々木様による植物の説明  来間島(タコ公園周辺)での植生調査の様子と自生していたサクララン

5.研修のまとめ

本研修では、亜熱帯性気候の宮古島でしか観察することのできない植物や動物の生態調査を行うことができた。特に、島内でも異なる環境によって亜熱帯植物や動物が多様に変化していることを実感することができたのは生徒にとって貴重な体験となった。横浜だけでは観察することが難しい植物や動物の生態を知ることが出来たのは、これから研究を行う生徒にとって重要な知見となると思われる。また、宮古島はサンゴ礁が隆起してできた島という特徴から、植物だけではなく、特殊な島民の生活環境や歴史、地質など様々なことを詳しく知ることができた。今回の研修に参加した生徒は生物に強い興味や関心を強く持っていたが、島民の生活や地質など新たな興味や関心を得ることが出来た研修にもなった。現在の生徒たちは、採取したサンプルを横浜の環境で生育させるための準備や、マングローブが自生していた付近の土の観察などを行っている。これからは調査結果について校内での報告や発表などを行い、参加が出来なかった生徒へ研修で得られた知識を還元していく。また校内発表にとどまらず、学会の高校生発表等にも報告できるよう準備を進めていく予定である。

 

 

  サンモールインターナショナル Science Project Day (10/9)

 

  

 

 Saint Maur International School(横浜市中区山手町)は、1872年創立のアジアで最も歴史のあるインターナショナルスクールで、本校は毎年様々な行事で連携活動を行っています。10月19日(金)に行われたScience Project Dayは、同校がIB(国際バカロレア)プログラムに基づいて、毎年実施しているプログラムです。生徒たちはグループに分かれ、それぞれが設定したリサーチテーマについての実験を行ったり、データを集めたりすることに1日を費やします。

 今年のテーマはHeat「熱」でした。本校からは校内選考で選ばれた1年次生6名がサンモールインターナショナルスクールを訪れ、一人ずつ別々のグループの一員として、1日協力して活動に取り組みました。各グループのテーマは「不純物によって沸点はどのように変化するのか」「温度と酸のpHとの関係」「様々な水溶性物質が水溶液の蒸発率に及ぼす影響」などで、生徒たちは緊張の中、英語でコミュニケーションをとりながら、それぞれのプロジェクトの完了を目指し、全力で活動に協力するとともに、サンモールの生徒たちと交流を深めていました。