サイエンス リテラシー

学ぶ楽しさを知る
科学への探究心がPISA型学力を高める

 自ら学び続けるために、まず学ぶ楽しさを知ること。そのために、サイエンスリテラシーの授業では課題探究型の学習を行います。「ほんもの体験」から生まれる 「もっと知りたい」という知的好奇心。この知的好奇心が「知の探究」へつながるエネルギーとなり、高い学力を育てます。

     *PISA=The Programme for International Student Assessment [学習到達度調査]の略で、OECD [経済協力開発機構]が2000年から3年ごとに行っている調査。
       数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシー、問題解決能力の4領域について、持っている知識や技能を実生活のさまざまな場面で活用する力を調査。


 

サイエンスリテラシーⅠ(SLⅠ)

 「サイエンスリテラシーⅠ」では、大学の教員による講義やグループワークを中心に、さまざまな分野の基礎実習を行い、研究の基礎となる知識や技能を身に着けます。1年次全員に実施します。

 

SLⅠ生徒オリエンテーション資料(一部)

 

 

 

第1回「SLⅠと光のサイエンス」

 第1回SLⅠでは、横浜市立大学 篠崎一英教授をお招きし、身近にあふれる光についての様々な現象について理解を深めました。当日の授業で生徒たちは、偏光板を使用したミニ実験を3種類行った後、グループディスカッションを通して、気づいたことや疑問点などを共有しました。また身近な光の製品を挙げ、それを改善・改良するアイディアをグループ毎に発表し、篠崎先生から感想とコメントをいただきました。

 今回の講義の中で、篠崎先生から最先端の技術について学ぶとともに、大学での研究の様子についても話していただき、「SLⅠならではの多角的な視点で物事を考え、研究、開発のテーマを考えて欲しい」との助言をいただきました。

   

生徒のラボラトリーノート

 

 

 

第2回「顕微鏡観察の仕方とラボラトリーノートの書き方」

 本校の生徒は、全員が専用のラボラトリーノートを持ち、課題研究で調べた内容、実験の手順や結果などを記録していきます。今回の授業では、横浜市立大学内山英穂教授をお招きし、顕微鏡観察実験を実際に行いながら、ラボラトリーノートの大切さや書き方についてお話しいただきました。

 実験では、神経のみを染色したオタマジャクシと、筋肉のみを染色したオタマジャクシを用意していただきました。そして、それぞれのオタマジャクシでどのように見え方が違うのかなどの考察課題について、生徒たちはグループで話し合い、それぞれの考察結果について発表し合いました。また、生物の実験では欠かせない顕微鏡の扱い方や、スケッチの描き方などについて、実験中も随時内山先生に指導していただき、生徒たちはまだ新品のラボラトリーノートに、熱心に、スケッチを描いたり、気づいたことをまとめたりしていました。

   

生徒のラボラトリーノート

  

 

 

第3回「課題発見力測定テスト」

 

第45回「植物の育成と比較対象実験」(2週連続)

 今回の授業では、「生物を育てる」ことを通して比較対照実験の考え方や条件設定について理解を深めてもらうことをテーマに2週連続で行いました。

 1週目は、各グループにカイワレダイコンの種子やシャーレなどを配付し、生物を染色、観察するためにというテーマで授業を行いました。初めにグループで手分けをして先行研究や事例を調査し、カイワレダイコンの発芽と生育に影響している要因が何かについて、仮説を立てました。食塩濃度の濃さでの生長の度合いの違いを比較したり、音による生長の度合いの違いを比較したりするなど、「対照実験になっているか」に留意しながら、各グループで様々な実験区を考え、1週間世話をしました。

 2週目の授業では、それぞれのグループが、実験結果のまとめや考察について、プレゼンテーションを行い、成果を共有しました。複数個の実験を行っているため、標準誤差まで求めて発表している班もありました。

  

  

生徒のラボラトリーノート         生徒発表スライド

 

第6・9回「SDGs × サイエンス」私たちにできること

 SGHの指定が5年目を迎えた本校では、今年度「SDGsを意識した課題研究テーマの設定」を指導目標に、SSHのプログラムとSGHのプログラムを融合させた取り組みを行っています。

 生徒たちはまず、今回のSLⅠの授業の前に、サタデーサイエンスで、課題研究テーマを設定する際に考えるべきポイントについての講演を聞きました。今回の授業では1週目の「SDGs×サイエンス①」で、グループに分かれて、実際にSDGsのゴールと科学の知識を組み合わせた研究テーマを設定しました。

 続いて、6月のグローバルスタディーズⅠでは、「清潔な水と衛生」をテーマとしたワークショップで、途上国の現状や先進国の食品ロスなどについて理解を深め、翌日のGS特別講座でも、SDGsに関する講義の後「ジェンダー」や「平和」などのテーマに分かれてグループディスカッションを行いました。

 その後、2回目のサタデーサイエンスでは、「SDGs×サイエンス①」で生徒が設定した実際の研究テーマをピックアップし、それぞれの優れている点や、再考すべき点などを全体で共有しました。

 様々な講座で理解を深めた生徒たちは、随時自分たちのプランに修正を加え、2週目の「SDGs×サイエンス②」で、各グループがそれぞれの最終的なプランについてプレゼンテーションを行いました。

  

 

第7・8回「結晶の生成と比較対照実験」(2週連続)

 今回の授業では、横浜市立大学橘 勝 教授をお招きし、生徒たちは、フラーレンナノウィスカーとリゾチームのタンパク質結晶を生成するというテーマのもとで講義と実習に取り組みました。

 1週目は、今回の実験で用いる塩濃度勾配法や液―液界面結晶析出法という原理について理解を深めるとともに、結晶の生成に影響を与える条件について、グループで比較対照実験の計画を立てました。タンパク質結晶では、「結晶を大きく作る」という目標のもと、種結晶を入れてみたり、磁石を置いてみたりして結晶を大きくするように試みていました。

 毎日放課後に、結晶を観察し、2週目の授業で、生成された結晶を顕微鏡観察し、成果と考察について、グループ毎にプレゼンテーションを行いました。

 植物の育成の回と合わせ、「対照実験」と「仮説検証」をテーマに授業が展開されました。生徒達のディスカッションを覗いてみると、お互いに対照実験になっているか、仮説に論理の飛躍がないかなどを盛んに議論していました。

  

  

生徒発表スライド

 

 

 

1011回「アルゴリズムとプログラミング実習」(2週連続)

今回の授業では、本校の卒業生2名(慶応義塾大学、東京工業大学)をTA(ティーチングアシスタント)として迎え、アルゴリズムとプログラミングについて、「Scratch(スクラッチ)」を用いた実習を行いました。Scratchは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のメディアラボで開発されたソフトで、プログラミングを感覚的に学ぶことができるように設計されています。

1週目は、「アルゴリズムとは」等について、簡単に説明を受けた後、それぞれの生徒がScratchを開き、TAから出された課題を一つひとつクリアしながら、プログラミングの基礎について理解を深めました。

2週目は、「エラトステネスの篩(古代ギリシアの科学者、エラトステネスが考案したとされる、指定された整数以下の全ての素数を発見するためのアルゴリズム)」を自分たちでプログラミングすることに挑戦しました。まず生徒たちは、自分たちで考えたアルゴリズムを、グループで検証し合い、その結論に基づいてプログラムのコーディングを行いました。その後、実際に機能するかどうかを試し、必要に応じて修正のための議論を重ね、改善を加えていきました。

 

   

 

 

 

1213回「IoTと回路とセンサーと情報通信の基礎実習」(2週連続)

慶應義塾大学理工学部西 宏章教授と、研究室所属の大学生・大学院生をお招きした今回の授業では、「Arduino(アルデュイーノ)」というマイコンを用いた実習を通して、実際に起きる現象と技術の関連について学習しました。

1週目は、Arduinoの概要について説明を受けた後、それぞれの生徒が、西先生から出された「LEDを点滅させる」「ボタンで光らせる」「明滅を変える」「ぼんやり光らせる」「サーボを動かす」「スピーカーで音を鳴らす」等の課題に取り組みながら、配線とプログラミングの基礎について理解を深めました。

2週目は、前回の知識を土台に「シリアル通信」「リボンコントローラ」そして「ネットワーク構築」へと課題をステップアップさせていきました。

   

 

 

 

1415回「落下する生卵が割れない構造の製作実習」(2週連続)

この研修では、東京大学で行われている「エッグドロップ甲子園」のルールを参考にして、校舎の3階から落とした生卵を衝撃から守るプロテクターの製作実習を行いました。

この活動では、単に卵を割らないだけでなく、卵をより短時間で、地面の的に近い場所に落下させるという課題も含まれます。また使用できるものは「コピー用紙」と「のり」だけとしました。1週目は、それらのルールや条件についての説明の後、それぞれの生徒が自分たちのアイディアを持ち寄り、5人のグループで、どのような構造が最適か仮説を立て、室内で実証実験を重ねていきました。

2週目は、各グループで製作したプロテクターの中に、実際に生卵を格納し、1グループずつ校舎の3階からコンクリートの地面のターゲットに向けて落としました。落下後、ターゲットの中心点からの距離と落下時間が発表されました。実験後はその結果についてグループで話し合い、授業の最後に考察についてプレゼンテーションを行いました。

 

     

  

  

 

 

1617回「化学実験器具の扱い方の実験実習」(2週連続)

今回の授業では、化学分野の探究活動を行っていく上での基礎・基本となる理論や方法・操作について学習しました。

1週目は、化学の定量的な考え方を理解することを目的に、分析機器を用いた実験操作について理解を深めました。実験実習では、アマランスという、赤色の食用色素を用いた溶液を分析し、濃度を求める課題に取り組みました。

2週目は、薄層クロマトグラフィーというシートを用いて、「分ける」操作についての理論と技術を学習しました。

実験では、赤2号、赤3号、赤40号、赤102号、赤106号等の食用色素を混ぜた溶液が5種類、あらかじめ用意されており、生徒たちはその5種類の溶液にどの種類の食用色素が入っているかを分析し、判別するという課題に取り組みました。

 

     

  

 

  

 

1819回「計算科学と比較対照実験実習」(2週連続)

横浜市立大学データサイエンス学部立川 仁典教授と、研究室所属の大学生・大学院生をお招きした今回の授業では、計算科学の世界に触れ、与えられた課題に関して、コンピューターシミュレーションで検証する方法について学習しました。

1週目は、計算科学の世界について基礎的な知識を学ぶとともに、計算シミュレーションがどのようなものかをモニター上で体感しました。その後は実習として「目玉焼きと生卵の違いをシミュレーション結果から考察して述べる。」という課題が与えられ、それぞれで設定した条件でシミュレーションを行い、その結果についてグループで考察し、プレゼンテーションを行いました。

2週目も、「酢酸・フラーレン・エタノールなど数種類の物質の性質について調べるとともに、シミュレーションを用いてその性質の根拠を説明する」という課題について、個人でシミュレーションを行い、その結果をグループで集約した後、各グループ5分で検証した内容を全体に向けて発表しました。

 

     

  

 

 

 

2021回「気象のサイエンス」(2週連続)

「天気図講座 ~未来のお天気キャスターへの道~」と題された今回の授業では、横浜国立大学大学院佐久間 光氏および、筆保研究室所属の学部生・大学院生をお招きし、天気図についての基礎知識と書き方、天気の予想の仕方について学習しました。

1週目は、天気、風向、前線、低気圧などの書き方を学んだ後、実際の予報士が行うのと同様に、ラジオの音源を聞きながらその場で天気図を作成したり、自分たちが作成した天気図をもとに、基本的な天気図の見方を学習したりしました。その後、次週への課題として、等圧線のみが示されている天気図3日分が各グループに手渡され、指定された地点の3日間の天気を予測するという課題に取り組みました。

2週目は、各地の天気を表にして、気象予報士になったつもりで、グループごとに天気予報を発表し、最後に予測結果と実際の天気を照らし合わせ、振り返りを行いました。

 

     

  

 

 

 

2223回「地震波のデータ解析とデータ考察実習」(2週連続)

横浜市立大学吉本 和生教授と研究室所属の大学生・大学院生をお招きした今回の授業では、地震を科学的な側面から考えるとともに、その考察に必要なデータの収集や分析の方法について学習しました。

1週目は、地震という現象の科学的な側面について、吉本先生からお話を伺うとともに、地震波測定の実習を行いました。さらに、地盤解析結果や地盤情報データ、新古地図など、地盤に関する情報へのアクセスの仕方について理解を深めた後、それらのデータを使って「隣接しているにもかかわらず震度が違う2地点の検証」というテーマで調査する地点をグループごとに決定し、次回への課題としました。

2週目は、各グループの研究テーマについてそれぞれが調べてきたデータをグループ内で共有した後、結果と考察について5分のプレゼンテーションにまとめ、全体の場で発表しました。