エモい ~伝える力を高める~

校長 今野 敏晴

 廊下を歩きながら子ども達の様子をうかがっていると、「ヤバっ」という声が聞こえてきました。テストの返却場面でした。「ヤバい」という言葉は、もともとは、「まずい」とか「危険」とかいう意味で使われていましたが、最近では、「すごい」とか「うれしい」とか驚きや喜びなどの感情を表す時にも使われるようになりました。テストの点がよかったかどうかは、その子の表情を読み取る必要があります。

 最近よくテレビなどで聞かれるようになった「エモい」という若者言葉は、さらに多くの意味を含みます。これまで言葉では表現できなかった何とも言えない感情を「エモい」という3文字で表現できてしまうのがこの言葉のすごいところだそうです。感情が揺さぶられて何とも言い表せない気持ちになったとき、とりわけ心地よい懐かしさや感傷的になったときに使われます。例えば、夕立のあとの夕焼けを眺めて、「夕焼けがふぁーって広がって、雲の下側がもこもこ赤くて、エモい」。曲を聞いて、「シンプルなメロディと切ない声が、エモい」など。他にも右図のような多くの感情が含まれています。その場にいたり、同じ対象のものを共有したりしていない限り、人によって「エモい」の表そうとする感情は当然異なってきます。「自分の今の素敵な気持ちをなんとか相手に伝えたい」、「とにかく自分は心が揺さぶられたんだ」と言葉にするには、よい表現だと言えますし、懐かしい文化の再発見にもつながっているようです。ただし、「様々な表現を知った上であえて使うならよいが、小さいうちから細かいニュアンスを無視した単語ばかり使っていては語彙が不足し、コミュニケーションが下手になるのでは」と心配する方もいます。(2019.読売新聞特集記事「国語力が危ない」)
 本校では、昨年度から教員の授業力向上を目指す研修の中心を国語科とし、「自分の考えを伝えることのできる子」の育成に向けて取り組んでいます。自分の考えをもつ時間を保障したり、自分の考えを広げたり深めたりするための交流活動を工夫したり、語彙指導の充実を図ったりしています。単元に入る際には、その単元で重要な言語活動を確認します。テーマや作者が同一な読書を並行して行います。また、年間を通して「言葉の貯金箱」として言葉集めをし、語彙を増やしています。
 多様な意味を含む言葉、あいまいな表現だけでは、正確に自分の考えを伝えることができません。自分の心の動きや考えをしっかりと言語化する努力は必要なことと考えています。そのためには、周囲の大人が、丁寧に問い返したり、言葉を補ったりする支援が欠かせません。
 「ヤバい」や「エモい」などの表現は日常会話により多く見られます。ご家庭におかれましても、子ども達の心情に寄り添いながら子ども達が何を伝えたいのか聞き取ったり、一冊でも多くの読書に親しむ時間をもうけたりしていただければ幸いです。
 
 
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