令和7年度 8月号

いのちは時間

 校長 今野 敏晴

 19日から39日間の夏休みに入ります。長い休みですので、まずは、規則正しい生活を心がけ、夏休みにしかできない挑戦をし、楽しい思い出をたくさんつくってほしいと願っています。夏休みは、子ども達にとって、学校があるときよりも自由に使える時間が増えます。その時間を大切に使ってもらおうと、日野原 重明先生の著書「いのちの授業」(ユーリーグ)を参考にして、朝会で、「いのち」と「時間」について次のように話しました。日野原先生は、105歳で亡くなるまで、現役の医者として活躍された方で、全国の小学校で「いのちの授業」を続けられていました。
 「日野原先生は、いのちの授業で、『いのちはどこにあると思いますか?』と子ども達に質問します。すると、自分の胸をおさえて『心臓』と答えが返ってくることが一番多いそうです。心臓は、体全体に血液や酸素を送り出すポンプの働きをするもので、いのちとは言えません。いのちは、目に見えない、手で触れることができないけれど、みんなが持っているものです。日野原先生は、『いのちとは自分のもっている時間』と言っています。『いのちは時間』です。時間をずっと重ねていくと寿命ということになります。
 日野原先生は、時間の使い方を自分で決めることが大切。自立の要素の一つと言っています。いのちは時間ですから、時間を大切に使うことは、自分のいのちを大切にすることでもあります。また、子どもは、一日のほとんどの時間を自分のために使っています。大人になれば、仕事をして社会のために時間を使います。家に帰っても家族のために時間を使います。時間を大切にするとは、自分以外の誰かのために自分の時間を使うことです。『人のために時間を使うこと』こそが、本当に生きていることになります。
 夏休みは、時間の使い方を自分で決め、『自分を高めるために挑戦する時間』(本を読んだり、興味のあることを調べたり等)、そして、『自分以外の人のために使う時間』(家の手伝いや地域の行事の参加等)にチャレンジしましょう。そうすれば、自分のいのちを大切にすることにつながります。」
 学校では、それぞれの学級で夏休みの生活や学習について話をしています。ご家庭でも、夏休みに入る前や初めに、お子さんのやる気を大切にし「夏休み全体を通した計画」と「1日の計画」を子ども達と一緒に立ててほしいと思います。
 日野原先生は、「いつまでも若くいられる秘訣はなんですか?」と聞かれたときに、「一番の原因は、常に新しい自分との出会いを大切に過ごしているからではないかと思います。
『出会い』と『キープオンゴーイング(前に進み続ける)』ことを大切にしています。
ですから、毎日が自己発見の連続なのです。」と答えられています。親子ともどもにこの夏休みは、時間を大切に使い、日常の生活の中でも毎日が「自己発見の連続」であることを願っています。

 8月号の詳細は、すぐーるで配信しております。