本校は、昭和59年度から、総合活動を核として、望ましい教育課程のあり方の研究と実践を重ねてきた。子どもの思いや願いを大切にしながら、問題解決的学習を進めてきたことにより、意欲的に活動しようとする子どもが増えてきている。何より、子ども自身が、総合活動そのものに自信と誇りをもっている。

 平成18年度からは、学校生活を意欲的に過ごす子ども、すなわち学校教育目標「生き生き日枝っ子」のさらなる実現を願い、児童指導の充実を図ってきた。充実を図る具体的な場面を、一次的児童指導(本質的児童指導)・二次的児童指導(予防的児童指導)・三次的児童指導(対応的児童指導)という三つの場面でとらえ直し、授業づくりが一次的児童指導となるという位置付けを明らかにした。日々の魅力ある授業が、全児童に対する成長促進的な指導・援助となるととらえたのである。このことは、本研究が、学校教育目標の実現並びに児童指導に於いて重要な役割を担っていることを示している。また、魅力ある授業づくりのために、平成20年度からは、身に付ける学習内容を明確にして授業評価の充実を図り、授業改善をすすめてきた。

 今年度も、研究を学校づくりの核とするというとらえや授業評価・授業改善を基盤に、総合活動を核とした魅力ある授業づくりを追究する。それは、子どもの思いや願いをとらえ、教科等との関連を図った総合活動をつくり、子どもの生活に密着した教育課程を編成することを意味する。子どもたちの姿を単に総合活動だけのものとせず、学校の教育活動全体に反映させていきたい。こうして、子どもの生活に密着した教育課程を編成し、その中で、一人ひとりが自分ごととして、自分の心と身体を動かして体験することが、主体的に探究する子どもの姿につながるだろうと考えた。さらに、子ども自らが、教科等の知識や技能などを、総合活動での活動や体験を通して確かに身に付けたり豊かに活用したりすることができ、さらには、実生活・実社会において汎用する「生きる力」としていくことができると考えた。研究主題に掲げた「知」とは、科学的に体系化された知識や技能だけではなく、子どもが活動や体験を通して主体的に体得する知識である。言うならば、生活や活動、感動などをともなった生きて働く知恵や「生きる力」である。平成20年3月に告示され、平成23年度、全面実施された『学習指導要領』においても「生きる力」を育成する教育課程の編成は、重要な課題である。