61名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 

 いつも園芸部が手入れしてくれている友情の泉のまわり、春は5本の桜、夏はサルスベリ、秋は金木犀、冬は椿、四季折々の木々が60年もの間、新入生を迎え、卒業生の旅立ちを祝福してくれています。本日は保護者の皆様、ご来賓の皆様のご臨席を賜り、「第61回卒業証書授与式」を挙行できますことを心から感謝申し上げます。トルコ・シリア大地震、ヨーロッパでは命がけの毎日を送っている人がいるそんな中、今日の式ができることはとても幸せなことだと思います。61名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。君たちは令和2年4月6日、61期生として寛政中学校に入学しました。その時私は君たちにひとつのことをお願いしました。覚えているでしょうか。それは「リスペクト アザーズ」「自分以外の人やものを大切に思いましょう」と。そして今年度の始業式では「すべての学校行事が、寛政中学校での最後の行事となる。61名全員が有終の美を飾れるように後輩をリードしていってほしい。ナイス トライで」と話しました。思えば3年前の入学式直後、国の緊急事態宣言を受け、5月31日まで臨時休校、6月1日からは分散登校でした。2か月以上もの間、君たちのいなかった教室・廊下はひんやりとし、グランドは表情がなく、地面が固くなっていました。友だちと遊びたくてもできない、授業を受けられない、部活動ができなくても君たちは不満を言わずにじっと耐えてくれました。しかし最上級生となった年、君たちは劇的に変化しました。私の想像をはるかに超え、強く、たくましく、優しく、大人の雰囲気を持つまでに立派に成長しました。目を閉じて思い出してください。

「ほな、行こか、京都で今日という日を楽しむシカない」というユニークなスローガンのもと、京都奈良への修学旅行、一人ひとりにリスペクトアザーズを感じました。
「マジで魂込めて61回目のアオハルを」のスローガン、体育祭では実行委員会、4色のリーダー、サブリーダーを中心に、全身全霊で取り組み、魂のソーラン節、エイサーを見事に披露してくれました。君たちが全力を出し切った勇姿は、深く後輩たちの胸に刻み込まれました。「絆硬め、思い出濃いめ、青春マシマシ、寛政祭一丁あがり」のスローガン、寛政祭では3・4組の「レッツチャレンジ」、学年劇「ムスカの苦悩」第一場面からエンディングまで、音響から照明、衣装、大道具、小道具、キャスト、黒子、ダンサー、それぞれ一人ひとりが、細部にわたり、魂を込め、学年がワンチームになり素晴らしい演劇、ダンスを見せてくれました。それこそ私が君たちに求めていた「リスペクトアザーズ」「ナイストライ」でした。君たちが求めていた「絆」「青春の一コマ」でした。
生徒会活動、委員会活動、縦割りでの活動では、最上級生として、質の高い取組と成果を後輩へ与えてくれました。君たちが創りあげてくれたものは寛政中の伝統として引き継がれていくと確信しています。この3年間、君たちはすべてのことに全力で取り組みました。
1組の君たち、1組はいつ行っても元気に挨拶を返してくれ、お互いを支え合う優しい雰囲気を持ったクラスでした。2組の君たち、2組はいつ行っても柔らかな雰囲気で自然と穏やかになるクラスでした。3・4組の君たち、3・4組はいつ行っても笑顔が絶えないまるで家族のようなクラスでした。どのクラスでも授業や学級活動でよく聞き、考え尊重し合う姿が見られました。まさしくリスペクトアザーズを貫いてくれました。
私もまた、君たちの優しさに触れ、勇気をもらいました。本当にありがとう。
3年間、素顔を覆ったままの生活、大声で笑うことも歌うこともはばかられ、かつてない時代を生き抜いた君たち、本当はおしゃべりしながらお弁当を食べたかったことでしょう。体育祭でも大声で力の限り応援したかったでしょう。寛政祭でステージの前に集まり、はじけながら大声で歌いたかったでしょう。スキー教室、修学旅行でもっと何日も友達と過ごしたかったでしょう。残った写真はマスクばかりですが、何物にも代えがたい宝物になったと思います。
我々教職員が頼もしく思うまでに、立派に成長した君たちの残した「栄光の足跡」に対し、心より「敬意」をあらわし、惜しみない「賛辞」を贈ります。
4月からはそれぞれの新天地で友を見つけ、恋をし、夢を追い続けていき、一歩ずつ階段を登り「おとな」になっていくことでしょう。高校生活は3年しかない。為すべき一つひとつに全力を尽くし、能力の限り頑張ってほしい。
地域の方々や保護者の方々に温かく見守られている君たち、日本各地で起きた大震災・自然災害を決して風化させることなく被災された多くの方々に心から哀悼の意をあらわしてほしいです。君たちは「横浜の宝」「日本の宝」なんです。ぜひ君たちの力で地域を、日本を盛り上げてほしいです。「リスペクトアザーズ」「ともに生きる」を強く持ってください。
結びになりますが、本日、ご臨席賜りました、ご来賓の皆様、心より感謝申し上げます
保護者の皆様、卒業生をいつくしみ、育んだ、深い愛情と、尊いご労苦に、心から敬意を表します。特にこの3年間は「自分と自分の大切な人の命を守る」ということに心を砕かれた3年だったと推察いたします。感染予防という難しいリスクマネジメントをやり通し、困難に打ち克った3年でした。さっそうと巣立ちゆくお子様に感慨もひとしおのことと拝察し、お祝いを申し上げますとともに、ご入学以来、本校教育の推進に多大なるご理解、ご協力を頂いてまいりましたことに、そして、どんな時でも子どもたちを見守っていただいたことに心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。
最後に、巣立ちをする君たちへの祝いの言葉を持って私の式辞とします。
寛政中学校第61期生の前途に栄光あれ。
令和5年3月8日 
横浜市立寛政中学校
校 長  森 勝義