ごあいさつ

校長あいさつ     

  

意志あるところに道はある

 令和3年4月  

    校長 永瀬 哲  

開校から13年目を迎えて

平成21年4月に開校した横浜サイエンスフロンティア高等学校は13年目を迎えました。附属中学校は開校5年目となり、この4月には2期生が高校に入学しました。中高一貫教育校になった際、本校が新たな展開を象徴するキーワードとして掲げたのは「融合」です。これは文字通り「一つに融け合うこと」で、高校からの入学生と附属中学校からの入学生が互いに刺激し合い、相乗効果によって潜在的な力を発揮してほしいという期待を込めました。今、その期待が現実のものになっており、あらためて生徒の柔軟な思考と対応力の高さに感心させられています。

最近、実感しているのは、横のつながりだけではなく、縦のつながりという点でもこの「融合」の成果が表れてきているということです。高校生の真摯な姿勢から多くを学んだ附属中生は、学習はもとより、各種大会やコンテストなどにも積極的にチャレンジし、幅広い分野で優秀な成績を収めています。そして、附属中生に刺激を受けるように、高校生は更なる高みを目指してきました。その結果、昨年度は「高校生科学技術チャレンジ(JSEC) 優秀賞」、「化学グランプリ2020 銅賞」、「日本植物生理学会年会 高校生生物研究発表会 最優秀賞」を受賞したのをはじめ、各種学会での発表やコンテストで多くの生徒が全国の高校生とその成果を競い合っています。附属中生にも高校生にも共通しているのは、目標に対して強い意志をもって最後までやり抜き、それが結果に結びついているということです。

 

スーパーサイエンスハイスクール指定校として

本校は昨年、スーパーサイエンスハイスクール(以下SSH)第3期の指定を受けました。世界に通用する科学技術人材の育成を使命とする本校にとって、SSHであることは特色ある教育活動を進めるうえで重要な要素の一つです。具体的な取組として、課題探究型学習の学校設定教科「サイエンスリテラシー」をはじめ、小・中学生対象に実験や実習を行うサイエンス教室、高校1年次生対象のサタデーサイエンスなど、サイエンスエリートの育成を目的とした様々なプログラムがあります。

令和2年度は附属中学校からの入学生が高校からの入学生と初めて一緒に学んだ年であり、中高の連携を意識した新たな研究開発課題に取り組みました。そして、一定の評価を得てきたこれまでの取組も、課題に応じてマイナーチェンジをしつつ継続しています。しかし一方で、新型コロナウイルス感染症の影響は想像以上に大きく、SSHの事業自体が大幅な制約を受けることになってしまったのも事実です。特に、海外への渡航が厳しく制限されたことによる海外研修への影響は計り知れません。こうした状況にあっても実施可能な手立てを考え、オンラインを活用することで海外にいる研究者の方々などとコミュニケーションをとったり、講義をしていただいたりする機会を設けました。また、日本で学ぶ外国人留学生を講師とした英語プレゼンテーションを実施することで、サイエンスリテラシーⅡでの研究成果を英語で発表することもできました。

「コロナだから…」と言って最初から諦めるのではなく、学校として現状と課題を正確に把握し、今できるベストな方法を探った結果、次々とアイデアが出てきています。むしろ、コロナをきっかけにSSHとして新たな可能性が広がりつつあるといっても過言ではありません。

 

意志あるところに道はある

Where there’s a will, there’s a way.」―「意志あるところに道はある」

短い表現ですが、人生をいかに生きるべきか、ということに対する答えがはっきり示されていると感じます。人は誰しも弱い面があるので、苦しいことや面倒なことがあれば、ついついそこから逃げたくなるものです。しかし、諦めたらすべてはそこで終わってしまいます。目標の達成に向けて気持ちを強くもち、あとはただひたすら努力するのみです。時には自分を奮い立たせ、最後の最後まで粘り強く取り組むことでゴールが見えてきます。もしかしたら、思うような結果が得られないかもしれませんが、行動の結果は「無」ではありません。自分のこれからにつながる何かが必ず残ります。コロナ禍におけるサイエンス生を見ていて、そう考えずにはいられませんでした。

今春卒業した10期生は100名が国公立大学に合格しています。進学先を見てみると、北は北海道から南は九州まで全国津々浦々です。また、例年進学者の多い理学、工学以外にも医学、農学、情報、環境など多岐にわたる分野に進学者がいます。今年は大学入試改革最初の年であったことに加えて、感染症の影響もありましたが、サイエンス生の多くは国公立大学の後期日程試験までを視野に入れて受験に臨み、結果を残しました。いずれも主体的に自分の道を切り開こうとする態度の表れだと考えています。

もちろんこれは、先を見通せない状況の中でも諦めず、一人ひとりの生徒が強い意志をもって努力を継続した結果であることは言うまでもありません。高い志をもち、最後までくじけずに、「意志あるところに道はある」を体現している生徒の多いことも本校らしさだと思います。

横浜サイエンスフロンティア高等学校では、自分自身を成長させ、社会の発展に貢献しようという強い意欲の持ち主を育て、応援します。本校で未来の「サイエンスエリート」を目指してみませんか。

 

常任スーパーアドバイザーあいさつ

浅島誠先生は、平成31年4月1日より和田昭允先生に代わり、常任スーパーアドバイザーに就任していただきました。

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議論を通して自己を磨き、大志をもって楽しもう!

 浅島 誠(あさしま・まこと)
 

 産業技術総合研究所 名誉フェロー

 東京大学 名誉教授

 横浜市立大学 名誉教授

 帝京大学 学術顧問 特任教授

 日本学術振興会 学術顧問

 

 

 令和元年度に和田昭允先生に代わりまして常任スーパーアドバイザーに就任しました浅島です。和田先生は横浜サイエンスフロンティア高校の創設以来、長年名物の「和田サロン」を主宰してきました。その中で和田先生は並々ならぬ情熱を持ち、次世代を担うYSFH の生徒に、科学技術の重要性と科学哲学、人材育成の必要性を述べてきました。YSFH から次世代を担う「サイエンスエリート」を育てたいとの思いが一貫してありました。そこには日本は島国で、これから世界と伍して行くには「科学技術」が重要だと感じていたと思います。和田先生は今では世界中の生命科学の分野では誰でも使っている、DNAの自動解読を世界で初めて取り組まれた卓越した科学者です。それだけに、科学技術の発展がこれからの日本や世界に必ず必要であるとの深い思いからだと思います。先生は単に科学技術の発展だけを考えられたのではなく、若い次世代の生徒に「サイエンス」とは何か、「サイエンスエリート」とは何かと常に問い続けて議論してきました。先生は物理学が専門でしたが、生命科学にも造詣が深く、東大で新しく生物物理学の分野を開拓しました。これからは私も和田先生の「和田イズム」を継承してサロンをしたいと思います。

 

 私が横浜サイエンスフロンティア高校に始めてきたのは、今から約10年前の開校して間もないころでした。当時、高校の名前に「サイエンスフロンティア」が入っていたので自分も大きな驚きとそれ以上にワクワク感と期待感があったことをよく覚えています。横浜サイエンスフロンティア高校は、「サイエンスを本格的に勉強」しようとして看板を掲げた日本で初めての高校です。このオンリーワンでナンバーワンを目指している雰囲気は当時より変わらず現在まで醸し出されています。

 サイエンスは物事を良く観察することから始まり、その事象を十分なデータの下に正確に取り出し、自分の頭で考えて、起こっていることの原因と結果を論理的に結び付け、その後、判断や答えを出す知識と智恵のサイクルから生まれます。このサイクルからは新しい創意工夫や叡智、勇気も生まれます。

 ところで、サイエンス力を伸ばす方法の一つはお互いが議論することです。日本では議論する雰囲気は少ないように私は感じています。多くの皆さんは自分でよく考えていると思うのですが、それを口に出して議論することが少ないのではないかと思います。これから社会や企業、国際会議等に出ていった時、相手の考えを聞くことも大切ですが、自分の考えをきちんと述べることも大切です。相手に自分の考えを知ってもらい、お互いに尊重しながら、議論することは今後の自己啓発にもとても重要です。お互いを高めるコミュニケーション力です。自分の意見を述べながら相手の意見を聞き、議論を通してお互いがより高い知識や智恵、考えや志や希望に持っていけるのです。お互いの信頼の中での議論は、自分を高めるだけでなく仲間も一緒に更に向上していけるのです。この時、ザックバランに意見を述べあい議論をし、わからないことをトコトン話し合えば新しい見方や考え方を知り、とても有意義な時になります。その議論の過程で自分より優れている仲間の意見を聞いたり、感じたりした時、また自分も頑張ろうとなるのです。「彼はこのように考えているのだ。」「彼も自分と同じように悩んでいるのだ。」「自分の将来の姿はまだ見えないが仲間はどのように考えているのだろうか。」「サイエンスするとはどのようなことだろか。」「成績を上げるにはどうしたらよいのであろうか。」「自分の目標をどのように作り上げれば良いのだろうか。」等、これらは皆さんの多くが常日頃から考えていることであり、また悩んでいることだとも思います。大志に向けて希望を持ち成長させようとする時、色々な問題が出てくるのは当たり前です。その問題を乗り越える勇気と知識と智恵の基盤がサイエンスです。これからは自分の進む道は自分でレールを敷き一つ一つ着実に歩みを続けることです。そのために自分自身を磨くことは一番大切ですが、仲間と議論してお互いが一緒に高い志と希望を持って成長することが出来れば、とても素晴らしいことなのです。

 横浜サイエンスフロンティア高校・附属中学校の素晴らしい環境の中で、優れた先生方や先輩、良い仲間に会い、学ぶことの楽しさ、サイエンスをする事の喜びを全身で感じ、大いに学校生活を実りあるものにして下さい。