ごあいさつ

校長あいさつ     

                                                                     

 

                不易と流行 

 

平成31年4月

校長 永瀬 哲

 

開校から11年目を迎えて

平成21年4月に開校した横浜サイエンスフロンティア高等学校は11年目を迎えました。附属中学校は開校3年目となり、ようやく3学年の生徒が揃いました。中高一貫教育校となった本校のキーワードは「融合」です。これは、あらゆる場面で中高の一体化を進めることにより、中学生と高校生が互いに刺激し合い、相乗効果で大きな力が生み出されることを目指したものです。すでに、附属中学校1期生と2期生が各種の全国大会で優秀な成績を収めていることから、本校の目指す「融合」は着実に進んでいると考えています。

SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校として第2期の最終年度である5年目を迎えました。今年度も、国内外での様々な取組によるこれまでの蓄積にグローバルな要素を加えて展開します。また、高大接続改革を見据え、いわゆる「学力の三要素」を伸長するための手立てについても検討を重ねています。

 

YSFと高等学校新学習指導要領

昨年告示された高等学校の次期学習指導要領では、大きく2つの基本的な考え方が示されています。第一に「社会に開かれた教育課程」を重視すること。これは、身に付けるべき資質・能力を明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくことを意味します。第二は、知識・技能、思考力・判断力・表現力、及び主体的に学ぶ態度を育成することです。

本校では開校時より、SL(サイエンスリテラシー)において課題探究型の学習を進めてきました。そして、恵まれた施設・設備とともに多くの研究者や技術者による支援が、学びの質をより高めています。新学習指導要領に示された考え方を先取りし、その理念の確かさを実証してきたというわけです。

今春卒業した8期生のうち89名が国公立大学に合格しています。進学先を見てみると、北は北海道から南は九州まで全国にわたっています。また、系統別に見ると、理学・工学系統以外にも人文・社会科学系統への進学者がいます。いずれも主体的に学ぼうとする態度の表れだと考えています。

もちろんこれは、恵まれた環境の中でもそれに甘んじず、一人ひとりの生徒が努力をした結果であることは言うまでもありません。高い志をもち、最後まであきらめずに取り組む生徒の多いことも本校らしさだと思います。

 

蕉風俳諧の理念

蕉風俳諧の理念の一つに「不易と流行」があります。その語源は『去来抄』に求めることができます。「千歳不易の句、一時流行の句といふあり。これを二つに分けて教へ給へども、そのもとは一つなり。」とあるのがそれです。現代語にすると、「千年変らない句と、一時流行の句というのがある。(師匠である芭蕉は)これを二つに分けて教えたが、その根本は一つである。」という意味になります。

新しさを求めて絶えず変化する流行性にこそ、実は永遠に変わることのない不易の本質があり、不易と流行とは根本において一つであるという考え方を示しています。

本校における「不易」とは、「先端科学の知識・知恵を活用して、世界で幅広く活躍する人間」つまり、「サイエンスエリート」を育てるという開校以来の目標であり、教科「サイエンスリテラシー」における先端科学技術の実験・研究や課題探究型の学習です。これらの「ゆるぎない土台」に、社会や時代の変化に伴う流行的な側面を取り入れたのが本校の教育です。

 

これからの10年とその先を見据えて

芭蕉は俳諧が上達する秘訣を聞かれた際に、「過去の自分に飽きてしまうこと。」と答えたといいます。これは、努力を怠ることなく、なおかつ新しいものを求めるからこそ、そこに進歩が生まれることを意味しているのだと思います。本質的なもの、つまり「不易」を追い求めることは、すなわち、「流行」を求めることであり、流行を追う場合も本質を踏まえなければなりません。

IoT、ビッグデータ、AIなどの新しい技術が、私たちの生活をより便利で快適なものへと変化させていきます。開校から11年目を迎えた本校もこうした社会の変化を敏感にとらえ、本質を見失うことなく、先々を見据えた取組を進めます。

横浜サイエンスフロンティア高等学校では、自分自身を成長させ、社会の発展に貢献しようという強い意欲の持ち主を育て、応援します。本校で未来の「サイエンスエリート」を目指してみませんか。