学校だより
【7月号巻頭言】
“違和感”気付けるセンサーを
校長 角皆 裕文
朝、門に立っておおよその子どもたちを迎え入れると、続いて保護者の方々が来校されてきました。今日は音楽集会。保護者のみなさんは4年生の歌の発表を聴きに来てくださったのです。
「おそらく間違いないだろうけど・・保護者証が見当たらない。なんて声かけよう・・『音楽集会ですか?』ぐらいが自然かな・・」
私がまごまごしていると、先方から「保護者証を忘れてしまいました。○○の保護者です!」と気持ちよく挨拶してくださいました。内心ホッとする私。
99パーセント保護者だとわかっていても、やはり確認しなければならない。私の気の小ささを差し引いたとしても、そこそこ勇気のいる事なのです。
先日、元大阪教育大学付属池田小学校長である眞田 巧氏の講演を聞く機会がありました。ご存じの通り、同校においては2001年6月8日、刃物を持った男が校舎内へ侵入し、児童8名の命が奪われました。これを境に学校の安全対策が大きく変わったともいわれるこの事件から、今年で25年ということもあり、報道等で再考されているのをご覧になった方も多いと思います。眞田氏は当時、一教員として事件に遭遇し、その後同校で副校長、校長を勤められたそうです。
講演では事件当日の犯人の動きと職員の対応などが、見取り図を使って再現されました。中でも印象的だったのが「侵入した男と最初にすれ違った職員が会釈をしたが、返ってこなかったことに違和感を抱いたが、そのままにしてしまったことが悔やまれる」というコメントでした。
さらに、同氏が管理職として着任してから取り組まれた様々な安全対策について紹介され、侵入者対応訓練の実際の映像も見ることができました。侵入者役がケガ防止のためのプロテクターをつけて全力で走り回る場面は、固唾をのむほどに圧巻でした。
凄惨な現場の記憶をとどめながら、より安全な教育環境づくりのために気丈に講演を続ける氏の姿勢に深く感銘を受けるとともに、同じく子どもと職員の安全を守る立場として、身の引き締まる思いでした。
本校では今年度、警察の指導も参考にして保護者証を改めました。“遠くからでも目に付く色”として黄色の紙を採用。校内に札を下げていない人がいれば、子ども達も「あれ?」と気付けるように指導し始めたところです。
限られた予算と人的リソースの中で安全を確保していくためには、保護者や地域のみなさんの協力も欠かせません。職員と保護者、地域、そして子ども達の目で“違和感”に気付けるセンサーを張り巡らすことができれば、「不法な侵入を許さない学校」と「地域に開かれた学校」は両立できる。これは前述の眞田氏の信念でもあります。
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