16代校長の長尾 一(ながお はじめ)です校長5年目になりました。

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 昨年度は、コロナ禍ではありましたが、運動会、文化祭・理療祭、校内外での宿泊学習そして修学旅行など、様々な行事やイベントを復活させるチャレンジの年でした。故アントニオ猪木さんが生前たくさん口にされていた、「元気があれば何でもできる!」という言葉をお借りして、「工夫をすれば何でもできる!」を合言葉に教育活動を行ってきました。「以前はこうだった、だからコロナ禍では何もできない」ではなく、コロナ禍を逆手に取り、考え方を変えるチャンスをいただいたと発想を転換したら、新しい形がたくさん見えてきました。伝統を重んじることは大事ですが、時代時代に合わせていく柔軟性も必要だと感じた1年となりました。これからも様々な工夫をして本校の教育活動を数多く行っていけるよう努めていきます。

 
昨年度も、本校にとって、大きな出来事がありましたのでご紹介いたします。
 
平成2年に創立100周年記念事業として立て替えられた現在の校舎ですが、体育館の冷暖房用エアコンが未設置の状態でした。当時は、現在のような夏の猛暑や冬の寒さもなく、エアコンが無くても耐えられていたと思います。しかし、近年の寒暖の厳しさには、エアコンが必要だと考えていました。学校単独では要望を出しても先送りにされてしまうところですが、PTAや学校運営協議会の力もお借りして、念願の体育館にエアコンが設置されました。3月の卒業式・修了式ではそのエアコンの効果を感じることができました。また、夏には、冷房としてのエアコンが威力を発揮してくれることを期待しています。
 
本校は、視覚障害スポーツの一つである「フロアバレーボール発祥の地」とされています。創立130周年記念として、モニュメントが完成しました。玄関わきに設置していますので、ご来校の際にご覧いただけましたら幸いです。
このフロアバレーボールについて、本校の体育科教諭だった、田中四郎先生とは、私が本校の教員となった時には、すでにご勇退された後でしたが、何度か直接お会いしたことがあります。その中で、田中四郎先生から伺ったお話では、昭和32年(1957年)頃に以前から行っていた「盲人野球」現在では「グランドソフトボールと呼びます」の他に、運動場でチームプレーとして楽しめる球技はできないものかと考えられ、転がす野球が盲人野球なら、ボールを転がして打ち合うのがバレーボールと言って良いだろうということで、当時の生徒さんたちと試行錯誤を繰り返して、「盲人バレーボール」現在のフロアバレーボールを作られたそうです。そして1959年に関東地区盲教育研究会(現在の関東甲信越地区視覚障害研究会)に紹介をされたとのことです。
このフロアバレーボールを作られた、田中四郎先生は令和5年1月に96歳でご逝去されました。本校にとって、そして全国の盲学校にとって大きな存在を失ってしまいました。この場をお借りしてご冥福をお祈り申し上げます。
ラジオ日本「小鳩の愛~eye~」という番組で、フロアバレーボールについて、2月に3週に渡ってご紹介いただきました。現在、「小鳩の愛~eye~」のホームページでお聴きいただけますので、よろしければ検索され、お聴きいただけまけましたら幸いです。
 
今年度も幼児児童生徒の皆さんの学校生活が楽しいものになるよう、微力ながら本校の教育活動に力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
本校の校舎は、JR横浜線「大口駅」、東急東横線「妙蓮寺駅」、京浜急行線「子安駅」から黄色い点字ブロックの敷設されたスクールゾーンを通り、坂道を上った港が見える丘陵地にあり、国際航路の大型客船が横浜ベイブリッジを通過する姿やみなとみらいのランドマークタワーなどの高層ビル群が一望できます。また、所在する横浜市神奈川区は「浦島太郎ゆかりの地」として、浦島太郎にまつわる伝説が残るところです。
 
本校は、明治21年に眼科医浅水十明(あさみず じゅうめい)先生による「鍼治揉按医術講習学校」創設以来、創立134年を迎え、京都、東京に次いで日本で3番目に創立した歴史のある学校です。しかし大正11年9月の関東大震災で創立期の資料が焼失してしまったため、当時を知らせるものはほとんど残っていません。昭和25年4月、現在の横浜市立商業高校別科の校地に「横浜市立盲学校」が発足、昭和28年5月、現在の神奈川区子安(現:松見町)に移転し、平成19年4月、横浜市立盲特別支援学校に校名変更し現在にいたっています。
 
幼稚部、小学部、中学部、高等部本科普通科、高等部専攻科理療科・専攻科保健理療科が設置され、乳幼児から中途で視覚障害になられた成人の方まで幅広い年齢の幼児児童生徒が在籍しています。教室では、一人ひとりの見え方の状態に合わせて、拡大教科書や点字教科書等を使用したり、拡大読書器、iPad等を利用したりして学習しています。自立活動の時間には、点字の学習や白杖を用いた歩行訓練等も行っています。
 
高等部には本科普通科と高等学校等を卒業された方が対象となる高等部専攻科が設置されています。専攻科保健理療科は、あん摩マッサージ指圧師、そして専攻科理療科は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家試験受験資格が取得できます。
 
本校は、横浜市立神奈川小学校に弱視通級指導教室が設置されており、小・中学校に在籍する児童生徒で、「見え方」で支援を必要とする場合について相談・支援を行うほか、弱視個別支援学級の支援も行っています。また、特別支援学校のセンター的機能を有し、視覚障害教育のセンター校として、横浜市内及び周辺地域の幼稚園・保育所・小中高等学校などの乳幼児児童生徒や保護者の方、また中途視覚障害の方・卒業生の方々の相談に応じる役割も積極的に果たしています。また、神奈川県内にある3校の盲学校(神奈川県立平塚盲学校、神奈川県立相模原中央支援学校、横浜訓盲学院)・関連支援機関との連携を行っています。
 
視覚に障害があり、日常生活や学習、進学、就職等でお悩みのある方、どうぞお気軽にお問い合わせください。学校見学も随時受け付けております。