新しい時代のスタートにあたって
〜 子どもたちの今を大切にし、未来の希望へとつなげよう 〜

 横浜市立小学校長会
会長 大塚 俊明

 昨年度に引き続き、横浜市小学校長会会長を務めることになりました横浜市立山元小学校長の大塚です。今年度も、どうぞよろしくお願いいたします。

 横浜市立小学校長会は、昭和23年に設立されて以来、本市教育委員会をはじめとして、関係諸機関との連携のもと、組織的な議論と学校経営に関わる研究活動を積み重ね、「横浜の教育」の発展・充実に努めてまいりました。諸先輩の献身的な努力の上に発展してきた本会ですが、私はその第41代目の会長となります。

 さて、いよいよ平成29年度がスタートしました。横浜市立学校は、地方分権改革に関連する政令指定都市税源移譲に基づいた新たな体制で始動します。小学校長会ではここ数年、平成29年度政令指定都市税源移譲に向けた校長会の未来像の検討を、校長会OB及び現役校長で組織される新組織検討プロジェクトを中心に進めてきました。そして昨年度9月、県校長会に対して、市校長会と県校長会との関係に係る要望書に対する回答をいただき、ようやく一つの節目を迎えたところです。その要望書も、概ね横浜市の要望に沿った回答につなげることができ、今年度は、市校長会と県校長会との関係について、新たな連合体として再構成していく方向での提案を横浜市として発信することになります。その一環として、昨年度末には、県校長会役員を市校長会役員として兼務する組織改編を行ったところです。
 またここ数年、小学校長会は財政の権限が横浜市に移管する時期に併せて提言内容にも検討を加えてきました。その結果、市費移管というタイムリーな時期とも相まって、旅費配当や様々な人的措置の拡大など、提言をある程度反映した予算編成が発表されました。

 このように概ね順調にスタートした29年度ですが、市費移管初年度でもあり、各システム上の大きな変化もあります。また平成32年度の指導要領改訂を控え、昨年度末には新学習指導要領案も公表され、新しい教育課程編成に向けて作業も具体化します。さらに、大量退職・大量採用が続く中で職員の若年化は進み、学校では産休育休や育児短時間勤務に入る職員も相当数います。経験が浅いがゆえに、保護者対応を含め問題に対する対応が適切に取れない状況もよく耳にします。また、「子どもの貧困」「虐待」等を起因とする問題行動や学力低下の深刻化は、学級種にかかわらず特別支援教育の需要を高めています。これらは、教職員の負担増大に直結した課題です。
 これら諸課題の解決に向けて、横浜市立小学校長338名が知恵を出し合い、一致団結して取り組んでいくことが必要です。そのためには、会員の校長会活動への積極的な参加が欠かせません。全会員が、校長会の存在意義を確認しつつ、力を合わせて進んでいくことを期待します。それに関連して、全体の約2割を占めるとの声もある再任用の校長先生にもこれまで同様十分に力を貸していただきたいと思います。

 今年度の校長会では、引き続き「子どもたちの今を大切にし、未来の希望へとつなげよう」を合い言葉とします。校長会は、校長会の組織力強化と県校長会との新たな関係性の構築を目指しつつ、子どもたちの生活の充実を図り生きることの手応えを未来の希望へとつなげていくという教育の根幹を見失うことなく、上記の諸課題に向き合っていく必要があると考えます。


 将来の社会像が不透明な複雑な現代社会と言われますが、学校はいつの時代であっても、子どもたちや保護者、地域に信頼される存在でありたいと願っています。
 そのためにも、私たち校長は一人ひとりが経営意識を強く持ち、さまざまな情報を収集し、選択し、適切な判断をしていくことが大切です。その支援ツールの一つとして、今年度も「横浜市立小学校長会2017」(紀要55号)を発刊し、併せて「WEB2017」での発信を行います。これらを活用して、「横浜の教育」のより一層の充実・発展につなげていきたいと考えています。
                                   平成294