富士見中学校・公開授業1
題材名 ア ジ ア の 色 と 形
横浜市立富士見中学校 授業者名前 大沢朝美
1 題材設定の理由
(1)学校の状況
本校は、横浜の中心部に位置し中華街に隣接する地域にあり、外国につながる生徒が多数在籍している。その数は、比率にして全校生徒の約25パーセント、実に4人に一人が外国につながる生徒である。つながる国は韓国朝鮮、中国、台湾、フィリピン、フランス等多彩である。「つながる生徒」という考え方は、単に外国籍であるかどうかだけでなく、その子のもつ文化的背景を大切にする意味で、両親や祖父母の誰かが外国人である生徒や日本国籍取得者も視野に入れて使っている。
今年よりPSY(パイオニアスクールよこはま=提案公募型改革モデル校)に指定され、『多文化共生の学校・「まち」づくり』をテーマに学校として多文化共生教育に取り組んでいる。授業でも彼らのもつ多様で豊かな文化を生かし、共に学べる機会を作ることが模索されている。
(2)生徒の状況
比率が高いとはいえ、学校においてはやはり外国につながる生徒は少数者であり、自らの民族性を良い意味で発揮するチャンスは少ない。またその他にも、家庭状況や心身の状況等において課題を抱えている生徒が少なくない。学校の体制としては、体験型の学習機会を折に触れて設定し、少人数による丁寧な指導が行われており、そうした環境の中で生徒たちは比較的のびのびと明るく生活しているように思われる。今回は本校の中でも一番人数の多い2年で授業を行う。教室には中国・朝鮮・フィリピンにつながる生徒がいる。
(3)題材について
多彩な文化背景をもつ生徒の状況を生かし、どちらかというとその良さを発揮しにくい外国につながる生徒のアイデンティティを大切にする取り組みを、授業の中でも行いたいと考えていた。
今回、アジアの色と形を紹介し友だちのつながる国の文化に触れ、その多様性や美しさ、そして相互の関連性や独自性に気づければと思う。それは外国につながる生徒自身にとっても触れるチャンスの少ない母国の文化に触れる機会になる。また、少数者として「教えられ」「発揮しにくい」外国につながる生徒が、逆に「教え」「リードする」場面も作りたい。
こうした課題は日本の生徒にとっても同様である。日常的にふれる機会の少ない日本の伝統色・伝統文様にも触れその良さを発見すると共に、琉球やアイヌの文化など多様な日本の美にも気付きたい。そして、アジアの色と形の対比を楽しみたいと考えた。
本時では、映像資料や具体的な工芸品や民族衣装からそれぞれの国をイメージして配色を行い、自分のイメージを確かめると共にお互いの配色を鑑賞し、その多様性を確かめたいと思う。
2 題材のねらい
アジアの色と形について、映像資料や具体物からその一端を知る。そして自分のその国のイメージをつくり、平面構成を通じて表現する。
@私たちのつながる国には特徴的な色や形があることを紹介し、関心を持つ。 |
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A朝鮮、中国、フィリピン、日本の服飾・建造物等から特徴的な色や文様を知る。 |
B自分のイメージをもとにその国を表す配色をトーナルカラーを使って行う。 |
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Cその色を使って形を切り抜き、組み合わせてイメージの平面構成を行う。
D互いの作品を鑑賞し、その多様性に気づくと共に自分たちのもつ多様性と豊かさに気づ く。
3 評価について
@展示品や映像から各国の色や形に関心を持つことができたか。〈関心・意欲・態度〉
A意欲的に制作や鑑賞が行えたか。〈関心・意欲・態度〉
B映像資料や展示資料から各国の特徴的な色や形を発見し、その美しさを味わえたか。
〈鑑賞〉
C資料をもとに自分のイメージを作り、そのイメージを表す配色が行えたか〈発想・構想〉
Dお互いの配色を鑑賞し、それぞれの違いや多様性に気づけたか。〈鑑賞〉
* @Aについては授業の取り組みやシートから、Cは配色とシートから、BDはシート、 発言などから
4 準備
・それぞれの国の民族衣装や工芸品を展示する。
・映像(ビデオ)資料
・トーナルカラー、台紙用色画用紙は机の上に人数分用意しておく
・ワークシートも人数分机の上に用意しておく
・のり、画鋲
・掲示用ボード
5 学習の展開
学習の流れ |
生徒の学習活動 |
教師の指導・支援 |
1,導入
5分
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・展示品をみて、アジアの多彩な色 と形について知る。
・今時の題材について理解する。
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・教室に入ったときの驚きを大切にさ せる。
・詳細な制作手順や作品は見せず、「ア ジアの色と形を表現する」ことを伝 える。 |
2,映像による 資料提示
12分
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・映像を見ながら、服飾や建造物に おける朝鮮、中国、フィリピン、 日本の特徴的な色や形について知 る。 |
・ワークシートに記入しながら映像を 見させる。
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・関心をもって見ているか。@A
・各国の色や形について、その特徴や美しさを発見できたか。B |
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3,民族衣装
の紹介
13分
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・外国人生徒に簡単に展示品や民族 衣装について紹介説明してもらい、 理解を深める。 |
・外国人生徒に発言を求める。
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・友だちの発言をしっかり聞いているか。@A
・各国の民族衣装ついて、その特徴や美しさを発見できたか。B |
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4,色を選ぶ
10分
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・4つの国のうちどの国を表現する か決め、そのイメージにあう2色 をトーナルカラーから選ぶ。
・選んだ色を、台紙に貼る。
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・イメージを大切に自分の感覚で色を 選ぶよう指導する。
・時間を区切り選ばせる。
・用具はあらかじめ机の上に準備して おく。 |
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・教室前方のボードに国別に張り出
す。 |
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・興味をもった国のイメージをもち色を選ぶことができたか。C |
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6,鑑賞と
まとめ
10分
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・張り出した配色についてどの国を イメージして配色したか発表する。・発表を聞きながらシートに感想を 記入する。
・シートを提出し、道具を片づける。
・あいさつ |
・途中の生徒も作業をやめて発表を聞 かせる。
・発表を聞きながらシートに記入させ る。
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・お互いの配色を鑑賞し、多様性に気づけたか。D |
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6 考察
友だちのつながる国の文化に興味を持ち、これまで持っていたその国のイメージに新たにイメージを加え、配色し模様を造りだすことでそのイメージを形に表すことをめざしたい。今回触れられる色と形は、ほんの一部であるが、これをきっかけにアジアの文化に関心が深まればいいと考える。
ア ジ ア の 色 と 形・ワークシートNo1
年 組 番名前
1、アジアの工芸品(こうげいひん)や民族(みんぞく)衣装(いしょう)、ビデオを見(み)ての感想(かんそう)は?
2、あなたが一番(いちばん)興味(きょうみ)を持(も)ったり気に入(はい)った国(くに)はどこ?その理由(りゆう)は?
3、あなたが配色(はいしょく)するのに選(えら)んだ国(くに)は?また配色(はいしょく)のポイントは?
国名(こくめい)
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配色(はいしょく)するのに考(かんが)えたこと,イメージしたこと,ポイント |
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4、友達(ともだち)の配色(はいしょく)を見(み)たり発表(はっぴょう)を聞いての感想(かんそう)は?