ごあいさつ

校長あいさつ

自らを見つめ、磨き、高めるということ

 

平成29年5月

校長 栗原 峰夫

 

「驚きと感動 第二章、YSF 新たな幕開け」

 横浜サイエンスフロンティア高校はこの4月1日に開校9年目を迎えるとともに、新たに附属中学校を開校しました。真剣な眼差しと向学心を持って学校生活に臨む素直で積極的な80名の中学生に刺激され、高校生たちも自らの立場に自覚を持ち、日々の学習と研究に真剣に取り組んでいます。また、生徒会活動や部活動でも高校生の意欲的な姿は目立っており、中高一貫教育校化で期待される相乗効果がすでに見受けられています。

 3月に卒業した6期生は最後まで諦めることなく勉学に勤しみ、結果として4割の生徒が国公立大学に合格するという、本校にとっての快挙を成し遂げました。自らの興味・関心に十分に応え、吾が身を鍛え、力を伸ばすに最もふさわしい場として生徒たちが選んだ大学は、全国に広がっています。

 また研究活動においても「高校生科学技術チャレンジ(JSEC)」での「花王特別奨励賞」や日本代表チームとして臨んだロボットコンテスト「WRO 2016 インド国際大会」での4位入賞など、様々な科学コンテストや学会等で在校生は年次を問わず成果を上げることができました。この他にもグローバルな視点で考察を深める特別講座への参加者も増え、文化・文芸部門で活躍する生徒が上位の大会で認められるなど、本校が理想とする姿にさらに一歩近付けたと私は実感しています。

 今年度のキャッチコピー「驚きと感動 第二章」とは、附属中学校の開校による「YSF 新たな幕開け」を意味しますが、本校が歩んできた8年間を振り返り、その成果を確認、分析した上で新たなページを開き、チャプターを描きはじめるという強い決意の表れでもあります。もちろん、大切なのは謙虚さです。過去の実績に決して驕ることなく、基礎・基本、原点に立ち返ることです。ゆえに高校、附属中両校の校長として、私は「品性高潔にして、博学篤志であれ」との校訓を「生徒の本分」として改めて起こし、これを「志」の原点とするよう在校生全員に説いています。

 

漱石先生に学ぶ

 第6回卒業証書授与式の式辞において、漱石の愛弟子、物理学者の寺田寅彦による「夏目漱石先生の追憶」の一部を私は紹介しました。

 「先生からはいろいろのものを教えられた。俳句の技巧を教わったというだけではなくて、自然の美しさを自分自身の目で発見することを教わった。また、人間の心の中の真なるものと偽なるものとを見分け、そうして真なるものを愛し、偽なるものを憎むべきことを教えられた」

 「色々な不幸のために心が重くなったときに、先生に会って話をしていると心の重荷がいつのまにか軽くなっていた。不平や煩悶のために心の暗くなったときに先生に相対していると、そういう心の黒雲がきれいに吹き払われ、新しい気分で自分の仕事に全力を注ぐことができた」

 その上で私は卒業生に向けて、自らが属するチーム、そして社会の中で信頼される人となるために、いま一度、吾が身を省みることを呼びかけました。

 「私は皆さんに、まず一つ上の自分を目指し、次に一つ前へ進んで人とつながり、さらに人と人をつなぐ輪を作り、人と人の和を目指したチームを作ることを説いてきました。そして問題解決に取り組むそのチームの力を高めるためには、自分と価値観の異なる他者を否定したり、排除したりすることなく、多様な人々を仲間として認めていくことが大切であると訴えてきました」

 「しかし、思えば皆さんに対して、外に向かう積極的な姿勢ばかりを強調してきた気がします。よきチームを作るには、まず自らがよき一員でなければなりません。周囲から認められ、信頼される人でなければなりません。そのためには、常に吾が身を省みる、内に向かう謙虚な姿勢が必要なのです」

 「ですから今日皆さんには、いま一度自らを見つめること、そして未熟さに気付いて、自らを磨き、高めることを求めます。その姿勢、努力を忘れない人こそが、信頼されるリーダーになれるのです」

 横浜サイエンスフロンティア高校は「探究心」と「高い志」を持つ生徒、そして謙虚に「自らを見つめ、磨き、高める」生徒を応援、支援し、育てる高校です。