平成29年3月21日(火) 

 現在、江戸東京博物館で開かれている「江戸と北京 18世紀の都市と暮らし」を見てきました。毎年、6年生の特別授業で取り上げてきた、江戸・日本橋の賑わいを描いた「熈代勝覧」(きだいしょうらん)と、乾隆帝80歳の式典に沸く北京の風景を描く「乾隆八旬万寿慶典図巻」、そして康熙帝60歳の式典を描いた「万寿盛典」(ばんじゅせいてん)が出展され、同時代の江戸と北京を比較しています。

 「熈代勝覧」を写真では何回も見てきましたが、本物から得られる情報量に圧倒されました。人物の顔の表情は勿論、手や足の先までが、実に繊細な筆使いで描かれていました。また、幅43㎝の絵巻ですが、日本橋通りを挟んで、手前の屋根瓦は濃く、向こう側は薄く描か れているのがはっきりわかりました。

 また、特に注目したのは、新聞でも紹介されていた、「熈代勝覧」と「万寿盛典」に共通する偶然としてはあまりにも似ている場面があったことです。下の場面は私が模写したものですが、左側が「熈代勝覧」右側が「万寿盛典」です。子どもを連れて学舎に向かう親子の姿は、海を渡り、約100年の時を超えて間違いなく「熈代勝覧」の作者に影響を与えていたのです。 

 私たちの周りにはたくさんの情報が溢れていますが、いつの時代も加工されたものではなく本物から学ぶ姿勢が大切だと思います。時間とお金がかかっても、本物に会いに行くことで、気づくことがあるのだと思います。会期は4月9日までですが、春休みにでも見に行かれたらいかがでしょうか。

 私の校長室だよりも今回で終わりになります。今まで、多くの方々のご協力、ご支援によって、美しが丘西小学校が発展してまいりました。心から感謝申し上げます。今後も暖かく子どもたちを見守っていただければと思います。本当にお世話になりました。ありがとうございました。