目標に準拠した評価の客観性・信頼性を得るための評価規準の作成とその運営・改善

具体の評価規準の設定と指導例及び評価規準の改善例

 

1 題材名   鑑賞 パブロ=ルイス=ピカソ作 「ゲルニカ」(油彩・1937年) 

                                                     

2 学年    第3学年

 

3 題材目標

   「ゲルニカ」の鑑賞を通して描かれている対象を見つけ出し、作品の主題について考えながら理解を深める。

 

4 題材について

   ピカソの作品を取り上げる時、生徒は「何が描いてあるか分からない。」とか、「あんなの俺にも描けるよ。」など、すぐに反応がある。生徒たちの中にピカソの作品に対する興味・関心の下地がすでに準備されている。「ゲルニカ」は歴史的、政治的な意味を持ち、絵画的に見ても色彩、題材、形態の扱いが特異な作品である。そこで、「ゲルニカ」のぬりえを使えば生徒自らが対象を発見できるのではないかと考えた。色鉛筆で対象を塗り分けさせた後で、ビデオを鑑賞させることによって理解を深めようと考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

5 教師の願い

    駅から少し離れた住宅街と学校周辺の集合住宅から生徒たちは通学してくる。全般的に人なつこく仲間意識が強い。近年生徒たちの技能面での稚拙さは増し、基礎・基本の重要さを思い知らされる。また一方で、作業好きで美術だけは熱心に取り組むが、発想の段階でつまずいている生徒もいる。鑑賞の授業を通して発想の大切さや、そのつまずきが取り除かれていく機会になればと考える。

 

6 題材の評価規準

観点

評価規準

十分満足とされる子どもの姿

美術への関心・意欲・態度

・主体的に鑑賞の活動に取り組み美術を愛好する。

・鑑賞の課題に意欲的に取り組み、対象を深く見つめ、主題に迫ることができる。

 

鑑賞の能力

・作者の心情や意図と創造的な表現の工夫などを理解し見方を深め、作品に対する自分の価値意識を持って批評する。

・作者の心情や意図と創造的な表現の工夫などを理解し、作品に対する自分の価値意識を具体的に論証し理解を深めている。

 

 題材の指導・評価計画(2時間)

 

生徒の学習活動

教師の指導・支援

 

 

 

・ピカソという人物と、「ゲルニカ」

という作品に興味をよせる。

 

 

 

・何がどのように描かれているか、形を見つけ出しながら色鉛筆で塗り分ける。

・何か発見したら発言する。

 

 

作業ワークシートに興味を持って取り組む。

 

導入

・教科書、資料集の「ゲルニカ」の図版を見ながら、作品の大きさと作品が無彩色であることについて話す。

展開1

・作業ワークシートと色鉛筆を配布し、形を見つけ出しながら対象を塗り分けさせる。

     次のような問いかけをする。

「花・矢印・カーテンはどこにありますか。」

「この作品は室内ですか、屋外ですか。」

「火事になっている所はないですか。」

 

 

 

 

 

テキスト ボックス: 本  時

 

・本時の課題について理解する。(5分)

 

・ビデオ「ゲルニカを味わう」に興味を持って主体的に鑑賞する。 (23分)

 

・鑑賞ワークシートに沿って、分かったことや自らの考えを交えて記述する。

15分)

 

 

 

・ピカソの生き方や表現の変容を通して、自分の生き方を見つめることができる

・「ゲルニカ」の主題と表現の工夫、ピカソの生きた時代や社会などを読み取っている。 

。 

 
 

 

 

 

 

 

 


・自らの考えや、感想を発表し合う。   (5分)

友達の考えたことや感じたことを理解しようとする。 

 

展開2

・鑑賞ワークシートを配布し、問1〜問5まで簡単に説明する。

・前の方で見たい生徒は移動させる。

 

 

・問2「何を主張したかったかとそれはどんなところに表されているか」論証する記述を求める。

・問5 戦争に対する生徒自らの考えを記述させる。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

     数名の生徒に感想を発表させる。

     感想は否定しないようにする。

 

 

 

 

 

 

8 本時の目標

   “ゲルニカのぬりえ”をしたことにより、鑑賞ワークシートの問1「何が描かれていますか?」について作品の基本的理解ができたと考える。本時はビデオ鑑賞することによって、ピカソと作品「ゲルニカ」について理解を深める。

 

9 準備 

生徒・・・教科書、資料集、筆記用具

教師・・・鑑賞ワークシート、色鉛筆(36色)、ビデオ「ゲルニカを味わう」*

 

10 本時の展開(評価計画)

 

生徒の学習活動

教師の指導・支援

導入

5

 

 

展開

40

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

5

本時の課題について理解する。

 

・ビデオ「ゲルニカを味わう」に興味を持って主体的に鑑賞する。 (23分)

・鑑賞ワークシートに沿って、分かったことや自らの考えを交えて記述する。

 

 

     美術への関心・意欲・態度の見とり

 

(規準となるBの姿を、机間巡視と鑑賞ワークシートの状況から確認)

・鑑賞の活動に主体的に取り組んでいる姿。

※評価規準に満たない生徒への手立て

・ポイントを強調し、意欲付けをする。

・思ったこと、考えたことをたくさん書くように指導する。

 

 

     鑑賞の能力の見とり

 

(規準となるBの姿を、鑑賞ワークシートの記述から確認)

・ピカソの生き方や表現の変容を通して、自分の生き方を見つめる姿。

・「ゲルニカ」の主題と表現の工夫、ピカソの生きた時代や社会などを読み取っている姿。

※評価規準に満たない生徒への手立て

・問2の「その思いはどんな所に表されているか」を記入しているか確認し、具体的な記述を求める。

・色彩についてどう思うか記述を求める。

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


・自らの考えや、感想を発表し合う。   

・鑑賞ワークシートを配布し、問1〜問5まで簡単に説明する。

・前の方で観たい生徒は移動させる。

 

 

・問2 「何を主張したかったかとそれはどんな所に表されているか」論証する記述を求める。

・問5 戦争に対する生徒自らの考えを記述させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・数名の生徒に感想を発表させる。

・感想は否定しないようにする。

 

*楽しくわかりやすい美術鑑賞No.1  ゲルニカを味わう NHKサービスセンター